Old Modern Furnitureとは
カーフは家具を作りはじめて38年。
長く家具づくり、ものづくりをする上大切にしてきたキーワードは 「Old Modern Furniture(オールド・モダン・ファニチャー)」 。
新しいのにどこか懐かしいような、すっと馴染んで安らげるような、そんな感覚。
カーフの家具や、空間づくりの根底にはいつもこのキーワードが含まれています。
代官山に移転したことをきっかけに、改めてこのキーワードについて代表の島田に聞いてみることにしました。
ぜひ、読んでみて下さい。

(スタッフ)
早速ですが、このキーワードに至った経緯についてじっくりお話しいただく機会があまりなかったので、改めてインタビューさせていただきたいと思います。
このキーワードの根底にあるものはどんなことなのでしょうか。
(島田)
ビンテージ家具やアンティーク家具に強く影響されたことですね。
家具業界に足を踏み入れてからもう40年近く経ってしまいますが、1930年〜70年代頃にデザインされた家具にはたくさんの事を学ばせてもらいました。もちろん100年近く前のアンティークにも。
1980〜90年代頃は、自分たちの勉強と買付を兼ねて海外にもよく行ってました。
最初はアメリカやイギリスあたり、2000年代に入ってからはデンマークを中心に北欧へ。

イギリスにて
様々な国の古い家具を見たり、実際に自宅で使ってみて感じたことは、ビンテージやアンティーク家具で埋め尽くされた空間は、一瞬にしてかっこよく作り込めるんだけれど、それ以上にならないというか、それ一色になりすぎると飽きてしまうというか。心から満足行く空間にならないな、という漠然とした思いがあったんです。
だから、ビンテージ家具を取り入れる場合にはひとつの空間に1〜2台程度を、エッセンスとして差し込む位がいいんじゃないかと思っています。
古いものをメインにして空間を作ろうとすると、なんとなく”キマり過ぎ”、”でき過ぎ”な感じがして、自分の物という実感が湧きにくい気がしていたんですよね。
心からリラックスできないというか。
(スタッフ)
ビンテージ家具が好きなのに、なぜそう感じてしまうんでしょう。
(島田)
そうですね。多分アンティークやビンテージ家具はそれぞれの個性が強いので、一箇所に集めてしまうとキャラクターの濃さが際立って圧迫感があるというかね。
(スタッフ)
なるほど、それは納得です。
(島田)
新しい家具づくりをしていく中で、どこか未完成な部分を用意しておきたいという思いが常にあるんですよね。
完璧じゃなくて、どこか抜け感があるというか、言葉で表現するのがちょっと難しい、感覚的な話になってしまうのですが。
(スタッフ)
そういう部分があると、気が許せるのでしょうね。
なにかきっかけというか、ルーツになったものはあったんですか?
(島田)
そういった感覚のベースになっているのは、20世紀に作られた家具。
多くは1930〜1970年代頃までのミッドセンチュリーがメインボリュームになってきますが、そこに大きな影響を受けましたね。
イームズのチェアなんかも戦後の高度成長期の中、当時のテクノロジーを駆使した素材で作られていたし、金属加工の技術も急速に進んで、当時はそれがとても流行ってね。
今みたいに技術が発展していなかった当時のFRP素材はムラがあったりしてね、光を当てると透けて見えたりするからよく分かるんだけど、でもそういったところに人が作ったという温かみを感じるんですよね。
古い時代の素材感とか、金属加工のテクノロジーが低いゆえに出る無骨さというか、手作りの温かみみたいなものが。
現代では完璧な製品を求められるので、ありえないことかもしれないけど。

雑多に積み上げられた椅子(1990年代/アメリカにて)
(スタッフ)
人間味、みたいな物を感じられる方が使っていて安心するのかもしれませんね。
では、今回の本題となる「Old Modern Furniture」というキーワードは、どうやって作られたのでしょうか。
(島田)
まず、「Old」を使おうと思ったのは、アメリカのカリフォルニアにある”パサデナ”という街がきっかけなんです。
パサデナの中でも”オールドパサデナ”と呼ばれる地区があるんだけど、そこには20世紀初頭の建築が多く残っていて、全体的にクラシックな雰囲気が漂っているのでとても面白いんですよ。
19世紀後半に鉄道が開通したことで発展して栄えたんだけど、一時期は衰退してしまって。でも80年代に入ってから大規模な開発が行われて、歴史的な建物を保存しながらリモデルされて、今では観光客にも人気のエリアになってるような地区です。
昔そこへ行ったとき、道路標識に「Old Pasadena(オールド・パサデナ)」と書いてあるのを見て、「Old」という言葉になんだかとても親しみやすさを感じてね。
ベーシックな言葉ではあるんだけれど、その言葉がなんかいいなと思ったんです。
それで「Old」を使おうと。
そこにFurnitureを組み合わせるんだけど、一般的にモダンファニチャーというと、ミッドセンチュリー期以降の現代的な家具をイメージすると思うのですが、ここでいうモダンファニチャーは、あくまで1950、60、70年代頃の、その時モダンと云われていた家具のことを指したいので、古い時代の(昔の)モダンスタイルを表現するために「Old Modern Furniture」という組合せにしたんです。
(スタッフ)
なるほど、まさか地区の名前からヒントを得たとは知りませんでした!
(島田)
カーフが作るオリジナル家具の原点はビンテージ家具なので、どこかそういった昔の家具デザインのエッセンスを加えて、編集しながら作っているようなところがありますね。ただ流行りを取り入れるというわけではなく、あくまで時代を経ても使い続けられるような普遍的であるように。
(スタッフ)
最後に、カーフが考える良い家具の条件は何でしょうか。
(島田)
「足し算ではなく引き算」
これに尽きますね。
完璧にしすぎない、どこか差し引き出る余地を残しておく家具もあっていいんじゃないかと思っています。家具だけではなく、空間を構成するときも同じです。
新しいもの、古いものそれぞれで埋め尽くすのではなく、自分が心地よいと感じる遊び(余白)を残しておくことで、心も窮屈にならずリラックスできるのではないでしょうか。
家具やインテリアは、時代によって見え方が変わったり、自分たちの感覚も変わったりしますが、根底に流れいてるテーマや想いがあるとブレずにその道を突き進めるものです。
遊べる余地を残して、家具やインテリアもチャレンジしてみることで自分の好きが明確になってきたりもするので、決めすぎずに楽しんでいきたいですね。
長く家具づくり、ものづくりをする上大切にしてきたキーワードは 「Old Modern Furniture(オールド・モダン・ファニチャー)」 。
新しいのにどこか懐かしいような、すっと馴染んで安らげるような、そんな感覚。
カーフの家具や、空間づくりの根底にはいつもこのキーワードが含まれています。
代官山に移転したことをきっかけに、改めてこのキーワードについて代表の島田に聞いてみることにしました。
ぜひ、読んでみて下さい。

カーフの世界観を表現するキーワード「Old Modern Furniture」とは
(スタッフ)
早速ですが、このキーワードに至った経緯についてじっくりお話しいただく機会があまりなかったので、改めてインタビューさせていただきたいと思います。
このキーワードの根底にあるものはどんなことなのでしょうか。
(島田)
ビンテージ家具やアンティーク家具に強く影響されたことですね。
家具業界に足を踏み入れてからもう40年近く経ってしまいますが、1930年〜70年代頃にデザインされた家具にはたくさんの事を学ばせてもらいました。もちろん100年近く前のアンティークにも。
1980〜90年代頃は、自分たちの勉強と買付を兼ねて海外にもよく行ってました。
最初はアメリカやイギリスあたり、2000年代に入ってからはデンマークを中心に北欧へ。

イギリスにて
様々な国の古い家具を見たり、実際に自宅で使ってみて感じたことは、ビンテージやアンティーク家具で埋め尽くされた空間は、一瞬にしてかっこよく作り込めるんだけれど、それ以上にならないというか、それ一色になりすぎると飽きてしまうというか。心から満足行く空間にならないな、という漠然とした思いがあったんです。
だから、ビンテージ家具を取り入れる場合にはひとつの空間に1〜2台程度を、エッセンスとして差し込む位がいいんじゃないかと思っています。
古いものをメインにして空間を作ろうとすると、なんとなく”キマり過ぎ”、”でき過ぎ”な感じがして、自分の物という実感が湧きにくい気がしていたんですよね。
心からリラックスできないというか。
(スタッフ)
ビンテージ家具が好きなのに、なぜそう感じてしまうんでしょう。
(島田)
そうですね。多分アンティークやビンテージ家具はそれぞれの個性が強いので、一箇所に集めてしまうとキャラクターの濃さが際立って圧迫感があるというかね。
(スタッフ)
なるほど、それは納得です。
(島田)
新しい家具づくりをしていく中で、どこか未完成な部分を用意しておきたいという思いが常にあるんですよね。
完璧じゃなくて、どこか抜け感があるというか、言葉で表現するのがちょっと難しい、感覚的な話になってしまうのですが。
(スタッフ)
そういう部分があると、気が許せるのでしょうね。
なにかきっかけというか、ルーツになったものはあったんですか?
(島田)
そういった感覚のベースになっているのは、20世紀に作られた家具。
多くは1930〜1970年代頃までのミッドセンチュリーがメインボリュームになってきますが、そこに大きな影響を受けましたね。
イームズのチェアなんかも戦後の高度成長期の中、当時のテクノロジーを駆使した素材で作られていたし、金属加工の技術も急速に進んで、当時はそれがとても流行ってね。
今みたいに技術が発展していなかった当時のFRP素材はムラがあったりしてね、光を当てると透けて見えたりするからよく分かるんだけど、でもそういったところに人が作ったという温かみを感じるんですよね。
古い時代の素材感とか、金属加工のテクノロジーが低いゆえに出る無骨さというか、手作りの温かみみたいなものが。
現代では完璧な製品を求められるので、ありえないことかもしれないけど。

雑多に積み上げられた椅子(1990年代/アメリカにて)
(スタッフ)
人間味、みたいな物を感じられる方が使っていて安心するのかもしれませんね。
では、今回の本題となる「Old Modern Furniture」というキーワードは、どうやって作られたのでしょうか。
(島田)
まず、「Old」を使おうと思ったのは、アメリカのカリフォルニアにある”パサデナ”という街がきっかけなんです。
パサデナの中でも”オールドパサデナ”と呼ばれる地区があるんだけど、そこには20世紀初頭の建築が多く残っていて、全体的にクラシックな雰囲気が漂っているのでとても面白いんですよ。
19世紀後半に鉄道が開通したことで発展して栄えたんだけど、一時期は衰退してしまって。でも80年代に入ってから大規模な開発が行われて、歴史的な建物を保存しながらリモデルされて、今では観光客にも人気のエリアになってるような地区です。
昔そこへ行ったとき、道路標識に「Old Pasadena(オールド・パサデナ)」と書いてあるのを見て、「Old」という言葉になんだかとても親しみやすさを感じてね。
ベーシックな言葉ではあるんだけれど、その言葉がなんかいいなと思ったんです。
それで「Old」を使おうと。
そこにFurnitureを組み合わせるんだけど、一般的にモダンファニチャーというと、ミッドセンチュリー期以降の現代的な家具をイメージすると思うのですが、ここでいうモダンファニチャーは、あくまで1950、60、70年代頃の、その時モダンと云われていた家具のことを指したいので、古い時代の(昔の)モダンスタイルを表現するために「Old Modern Furniture」という組合せにしたんです。
(スタッフ)
なるほど、まさか地区の名前からヒントを得たとは知りませんでした!
(島田)
カーフが作るオリジナル家具の原点はビンテージ家具なので、どこかそういった昔の家具デザインのエッセンスを加えて、編集しながら作っているようなところがありますね。ただ流行りを取り入れるというわけではなく、あくまで時代を経ても使い続けられるような普遍的であるように。
(スタッフ)
最後に、カーフが考える良い家具の条件は何でしょうか。
(島田)
「足し算ではなく引き算」
これに尽きますね。
完璧にしすぎない、どこか差し引き出る余地を残しておく家具もあっていいんじゃないかと思っています。家具だけではなく、空間を構成するときも同じです。
新しいもの、古いものそれぞれで埋め尽くすのではなく、自分が心地よいと感じる遊び(余白)を残しておくことで、心も窮屈にならずリラックスできるのではないでしょうか。
家具やインテリアは、時代によって見え方が変わったり、自分たちの感覚も変わったりしますが、根底に流れいてるテーマや想いがあるとブレずにその道を突き進めるものです。
遊べる余地を残して、家具やインテリアもチャレンジしてみることで自分の好きが明確になってきたりもするので、決めすぎずに楽しんでいきたいですね。